[弁護士に聞いてみた] CSLにおけるバンド下げ(給与等級切り下げ)—こう対抗しましょう

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私たちCSL労働組合(日本労働評議会富士通コミュニケーションサービス分会)では、分会長の「バンド」(給与・責任等級)について、会社があまりにも一方的に「見直した」(=切り下げた)行為を、第1回団体交渉で取り上げて追及しました。交渉の結果、会社にバンドを復元させました。このように、会社が一方的にバンド変更をすることに正当性はあるのでしょうか。組合顧問弁護士で暁法律事務所所長の指宿昭一先生に、就業規則や賃金規則を分析していただき、法的見解を伺いました。

「バンド」変更による賃金切り下げについて

2017年5月4日
日本労働評議会 顧問弁護士 指宿 昭一

富士通コミュニケーションサービス株式会社(以下、「CSL」といいます。)は「バンド」制度という職務等級制度を採用し、会社は人事権を行使して、一方的にバンドを切り下げて、労働者の賃金を引き下げることができるようにしています。

職務等級制度の下では、職務等級と基本給が連動するため、異なる等級への職務の変更が基本給の減額を伴うことになります。基本給の金額は労働契約の内容になっていますから、労働契約の一方当事者にすぎない会社が一方的に引き下げることはできないのが原則です。これができるのは、①就業規則、労働協約や労働契約に賃金引き下げの根拠規定があるか、②労働者の個別の同意がある場合だけです(コナミデジタルエンタテインメント事件控訴審判決・東京高裁平成23.12.27労働判例1042号15頁参照)。

CSLの場合は、①労働協約はありませんし、就業規則にも労働契約にも、賃金引き下げの根拠規定はありません。「正社員基本ミッション(標準版)」、「バンド・枝番変更基準」、「CSL Navi」にバンド制度の説明はありますが、これは、就業規則の一部ではなく、また、労働契約の一部となっているとは考えられません。

 ただし、②個別の労働者の同意があれば、バンドの切り下げができます。もっとも、この場合の同意は、労働者の自由な意思に基づくと認められる合理的理由が客観的に認められる場合に限られます。上司から、同意を求められて、うっかり「はい」と言ってしまったからといって、それが有効な同意になるとは限りません。同意をしないのが一番ですが、同意をしたかもしれないと思っても、その同意が有効だとは限らないのです。

 「バンド」を一方的に変更されて、賃金が減額され、それに納得できない場合減額に対する労働者の有効な同意がない限り、元の賃金額の請求ができると思われます。具体的には、個人でCSLと交渉する方法、②労働組合に加入して、CSLに対して団体交渉で要求する方法、訴訟で減額された差額賃金を請求する方法が考えられます。①は簡単に成果が出ないでしょうし、③は費用と時間がかかりますから、まずは、②の方法をとることをお勧めします。

私たちCSL労働組合では、評価面談などで、または口頭で、上司から一方的にバンド変更を告げられた方からのご相談を受け付けています。評価面談で納得の行かない評価を示されたとき、そのまま放置するとバンドが下がって大減収となってしまうこともありえます。上司にそのような話を出されたら、その場では同意しないで(返答を保留して)すぐに当組合までご相談ください。

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